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小野桂之介句集『蝸牛』
2017/8/8刊行

学者であり教育者である顔とはちがう、表現者の表情。
夫であり父であり祖父である温和なまなざしとは別の、キラリと光る鋭い視点。
何事もてきぱきとおこたりなく進める有能な行動に、時折覗く諷刺と茶目っ気。
作者を知る人も知らぬ人も、読めば読むほど味わいの増す句集。
(帯より・西村和子)

◆西村和子選十句
ハンカチで煽ぐのんどの白さかな
一掻をがしやりと注ぎぬ蜆汁
鮎宿の壁行灯の女文字
長き夜やこのごろ妻の鼻眼鏡
席蹴つて赤き手袋わしづかみ
居眠るがごとし学者の初仕事
登校子悴む指を食らひけり
振り向いて小さく手を振り春の風
ダメといふことばかりして七五三
幕上がり奈良岡朋子毛糸編む