カテゴリー: 今日の一句

盆花や遺作の壺を満たすべく　西村和子

町まで出てゆけばスーパーもあるのだが、散歩のついでに寄る何でも屋が気に入っている。店先のバケツに盆花も活けてある。店番のおじさんも歳をとった。あちらも私をそう思っているだろう。毎夏やってきてもう20年になる。
（句集　『自由切符』（2018年5月刊行 ふらんす堂）より）

手花火が昼間は見えぬもの照らす　行方克巳

見ようとするからものは見えてくる。実際には網膜に映っていても認めないことが多いのである。昭和59年作
（自註現代俳句シリーズ・11期5　行方克巳集　社団法人俳人協会より）

滝落したり落したり息もつかず　　清崎敏郎

『系譜 句集』角川書店・現代俳句叢書 1985

柔かく女豹がふみて岩灼くる　　富安風生

『愛日抄』 1961

南国の島は吼ゆるよ旱星　　西村和子

『自由切符』ふらんす堂 2018

夏芝居ひゆうどろどろと描かれたる　　行方克巳

『地球ひとつぶ』ふらんす堂 2011

帰省子の頬の尖れる寝顔かな　　西村和子

『心音』角川俳句叢書 2006

汗のてのひらを泳がす無言劇　　行方克巳

マルセル・マルソーを見た。私の処女句集の題名はここから取った。

『無言劇』東京美術 1984

母と子の母の大きな夏帽子　　清崎敏郎

『系譜 句集』角川書店・現代俳句叢書 1985