栗林圭魚著 『季題拾遺』
2016/1/10刊行
「拾遺」とは、歳時記からあふれ出たあれこれを拾い補うことであると同時に、
季題の「周囲」の世界を展開し解明することでもある。
知的好奇心旺盛な俳句愛好家必読の本。
知っていたはずの季題の意外な側面が見えてくる。
まず、今の季節から読み始めよう。(西村和子氏推薦)
客観写生にそれぞれの個性を
「拾遺」とは、歳時記からあふれ出たあれこれを拾い補うことであると同時に、
季題の「周囲」の世界を展開し解明することでもある。
知的好奇心旺盛な俳句愛好家必読の本。
知っていたはずの季題の意外な側面が見えてくる。
まず、今の季節から読み始めよう。(西村和子氏推薦)
◆必読入門書
俳句はこうして生まれる。
欲しかった一冊。
初句索引に加え、「私を育ててくれた人々」を書きおろしている。
入門書としては必須アイテムのシリーズ。
◆第一句集
笑ふ夢見てゐる顔の風邪治る
『葱坊主』はまさに子育て春秋における佳世子さんの奮闘記である。
まことに子供というテーマは身近であってこれほど興味深いものはない。
(帯より・行方克巳)
◆行方克巳選
一ページめくる手袋外しけり
西瓜の種蹠にくつつけ眠りをり
わがままな強情な髪洗ひけり
新妻の居場所探しやトマト煮る
小さな口の大きなあくび今朝の秋
くせつ毛のもさもさ頭葱坊主
十二月主婦の蝦蟇口かさばつて
ぶらんこにつつぱつて人寄せつけず
吾子は泣きコスモスはご機嫌に揺れ
どんぐりを右手に一つ左にも
夜焚火や阿修羅の一臂折りくべて
涅槃図の後ろの闇を見てゐたる
白菊や死に顔をほめられてゐる
目の慣れし暗さにピエタ降誕祭
白虹日をつらぬくインカ滅びし日も
揚雲雀空の階段あるかぎり
末黒野の土管の口があいてゐる
わが夏の視野のかぎりのホロコースト
夏草に屈めばでんでら野のむかし
ロック座のにせバラ灼けて巴里祭
水切つて雪の匂ひの新豆腐
秋出水鞣すごとくに日ざし濃く
霧深しマトリョーシカの中は月夜
素数わが頭上になだれ冬銀河
白椿万巻の書のみな白紙
帰郷してわが寝間となる夏座敷
第二の人生の六年間で得た七千余句の中からここに四六九句を選んだ望郷のうた。
老いて豊かな日常とは何か
これはその実体験の記である。
知音俳句会代表 行方克巳
◆第一句集
人生の先達に捧げられた句は
みずからの足どりと
心の軌跡の表出にほかならない。
妻として母として女として
人生の午後の充実と幸福を
時にあそび心を交えて
詠い上げた作品は
詠む者の心も
豊かに明るくしてくれる。
(帯・西村和子)
◆自選十二句
畳替足裏うれしくもたいなく
心柱その年輪の国の春
クリムトに微熱もらひてビール干す
木枯やガラス工房赤を吹き
母の日や母のきれいな笑ひ皺
運動会放送席の晴れがまし
小鳥来る人住む家も住まぬ家も
聖夜劇天使の羽の引つ掛かり
竹林の底を流るる寒気かな
フランスの切手嬉しき初便り
万緑や異形のものの潜みたる
エイプリルフール薔薇買つて帰りけり
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