秋茄子や日本の貧しかつた頃
井戸村知雪
「知音」2021年1月号 知音集 より
客観写生にそれぞれの個性を
「知音」2021年1月号 知音集 より
「知音」2020年12月号 窓下集 より
「知音」2021年1月号 知音集 より
「知音」2021年1月号 知音集 より
「知音」2020年12月号 窓下集 より
「知音」2021年1月号 知音集 より
「知音」2020年12月号 知音集 より
「知音」2020年12月号 窓下集 より
煮えきらぬ音ひきずつて梅雨の雷
牛島あき
【講評】煮え切らない音、それはどんな音だろうか。特に雷の場合。言葉とすれば、一般的には人の発言がきっぱりしていないことに使われる。しかも、ひきずるというからには、どうもみっともないなあという感じだ。ガラガラピッシャーンという勇ましくて、さも大雷という風ではないということであろう。ずるずるひきずって、一体いつになったら結論をだすのだろうというような。とすると、これは作者が何か割り切れない気持ちを抱えていて、それが投影されているとみるべきだろう。(中川純一)
身代を潰してしまひ更衣
鎌田由布子
【講評】一代で苦労を重ねて築いた身代、というよりも、親から引き継いだ身代のようだ。なぜなら自分が築いた身代を潰したのであれば、優雅に更衣などと洒落ている気分ではないだろうから。もしそうなら、それはすごいけれど。第一印象としては、どちらかというと、懲りない性分の二代目で、身代を自分の放蕩で潰したけれども、季節の変わり目だから夏物のお洒落な涼しい服でもだして、鰻でも食べて、気持ちを切りかえようというようなかんじ。つまり、好感をもってその人物を見ている。(中川純一)
取つて置きグラスに注ぐ冷酒かな
鎌田由布子
【講評】いいですねえ。冷酒であるから、おちょこではなくて、グラスに注ぐ。それもワイングラスではなくて、切子ガラスかなにか相当に凝ったガラス。江戸切子とか、値段もとんでもなく高価な、家宝のようなものもあるらしい。そういう気分を味わうというわけである。冷でこそ味を楽しめる銘醸酒であることは言うまでもない。(中川純一)
七夕の役所忙しや入籍す
髙野新芽
【講評】おめでとうございます!七夕に入籍なんて、ロマンチック!そのお役所は、なんだか忙しそうでめでたいゆったりした雰囲気ではない。ちょっとしたことだけれども、自分たち二人だけが世の中で幸せなこの瞬間ということが際立ってくるわけである。(中川純一)
梅雨の駅車輌一灯だにもなし
巫 依子
【講評】これはどういうことだろうか。長い車輛のどこにも明かりがついていないということか?雨で薄暗いのに、まだ昼だということで明かりがついていないことが不満だということなのか。都会の電車であれば、痴漢防止とか、スマホを見る人々のために、昼間でも電気をつけているように思うが、島の電車は顔見知りが多くて、そもそも短いし、節約していて昼は灯さない。ただ、「だにもなし」というのがなにか、憎々しい、投げつけるような言いざまであるところがひっかかる。島ののんびりした光景というわけでもなさそうである。この「だしもなし」が単に全くないということと感じるのであれば、だれも人がいない駅ということだが、評者にはあまり面白くはない。この評には、依子さんから激しいダメ出しがくるか?(中川純一)
朗らかや朝一番の蝉の声
三好康夫
【講評】朝から明るい気分になる蝉声なのであろう。こういう朝はご本人も気持ちがよい。寝不足で蝉がうるさくて起きたというのではなくて、すでに早起きしていると、蝉が丁度鳴き始めて挨拶のように聞きなしたということだ。こんな朝を迎えるという事は作者の生活態度もきっちりと朗らかなのである。(中川純一)
梔子の花耳たぶの柔らかさ
箱守田鶴
【講評】くちなしはそれほど背が高いわけでなく、花に触れることができるので、その花びらに触れてみた。すると耳たぶのように柔らかいという。色合いも優しい白で、手触りに厚みもあるということが表現されている。(中川純一)
アイスティー乾して人いきれの中へ
(アイスティー干して人いきれの中へ)
田中優美子
【講評】束の間の休憩。暑さしのぎと水分補給、それに糖分も。それを飲み干すと、即座に人いきれの中へ仕事に出るという、若い女性。最近よく見かけるテレビのCMではアイスクリームをたべてから、よしっと肩慣らしをして仕事にかかる女優さんがいるが、それよりも動きがあって活動的だ。(中川純一)
白日傘太平洋へひらきけり
緒方恵美
【講評】明るい句です。絵画のように、白と青い海と晴れた空が広がっている。ひらきけり、という表現がすぐれている。ここに人の動作があるのみならず、光景が開けることも描けている。「白日傘」、と「ひらきけり」が音の上でも共鳴していて、その間に太平洋がある配置も絶好。(中川純一)
夕立あと天使の羽のごとき雲
田中優美子
【講評】天使の羽のごとき雲とは、まあ素敵ではないか。何か希望を感じさせるようだ。(中川純一)
冷房に誘はれ要らぬもの買ひて
(冷房に誘はれいらぬもの買ひて)
髙野新芽
【講評】新婚家庭のお買い物だろうか。エアコンを買いにいったともとれるけれど、電気屋でなくともよい。冷房がきいていて、気分がよくなって、ちょっと気の利いたようなものを衝動買いしてしまったわけだ。でも買い物の楽しさというのはそれ自体、気持ちがよいということも含まれる。下世話な例で恐縮だが、素敵なしゃもじだと、けっこう高価なのをつい買ってきて、結局いつもの使い慣れたしゃもじをいつも使っていて、飾り物になっているというのがあって、苦笑を禁じ得ない。(中川純一)
戸に粽厨に護符の大暑かな
島野紀子
【講評】粽は京都の祇園祭りの時期に八坂神社で売られる厄除けのお守りで、この句の内容からすると、端午の節句で食べるものとは違う。玄関先にかけておく茅の小さな飾りのようだ。台所には護符もあり、大暑、疫病のこの夏の感じがある。(中川純一)
横断の足の縺るる溽暑かな
小山良枝
【講評】おっと危ない。このごろいらいらした運転者が増えているようで毎日のようにテレビのニュースで乱暴運転の映像が流れる。まあそういう車には遭遇しなかったので、事なきを得た。それにしても暑くてぼ~っとしてしまう。踏切でなくてよかった。(中川純一)
遠ざかる船のごとくに夏入日
矢澤真徳
【講評】真っ赤な入日が真正面に見えている光景。光の筋が自分の目からずっと続いて水平線の入日まで航跡のように伸びている。それを遠ざかる船とみなしたのは、青春性を含んでいよう。今日は入日が何か暗示的な姿に見えるというわけだ。(中川純一)
七月の机上の帆走カリブ海
(七月や机上の帆走カリブ海)
辻 敦丸
カリブ海には一度だけ行ったことがある。アルーバ島というオランダ領の島だったと思う。ハワイとちがって飛行機も乗り継ぎで簡単には行けない。陽ざしが肌に痛いほど強い。帆走したら気持ちがよかろう。といってもコロナ全盛のこの時期、気分だけでも味わうなにかの画像を見ているのであろう。カレンダーかもしれないけれど。
餌を運ぶ蟻の交代せはしなき
(餌を運ぶ蟻の交代せはしなく)
小野雅子
なるほど。一つの蟻が大きな蝉の羽などを運んでいるのは記憶にあるけれど、交代してまで運ぶというのは一つのものでは運べない大物か。社会性に優れて生き延びてきた蟻は、独り占めなど考えないで皆で運んで、皆で恩恵を味わうのだが、上から見ていると、何やら不憫という気持ちのようだ。
門川に弥勒のごとく海芋咲く
中山亮成
夏帽子森の中なるパン屋まで
長坂宏実
素敵なパン屋ですね。手作りの香りたかい発酵パン。
ムール貝開けばハート巴里祭
宮内百花
そもそも真っ黒な貝なのだが、開けば白というか、輝きと光沢もあるムール貝。それがハートの形だとみなすのは、まあ、浮かれているパリジャン、パリジェンヌらしい。
真つ新の氷旗吊り梅雨晴間
松井洋子
風鈴や忘れたころの余り風
(風鈴へ忘れたころの余り風)
黒木康仁
声出せば涙となりぬ夏の星
小野雅子
跳び箱を七段とんで靴白し
(七段の跳び箱をとぶ靴白し)
松井洋子
小学校も高学年の体操が得意な男の子。みんな驚くジャンプだ。ちなみに、私はこれをやって転げて腕の骨を折りました。
沙羅の花こぼれて朝のすがすがし
(沙羅の花こぼれて朝のすがしけれ)
佐藤清子
茅萱の穂や雲上の舞台めく
(雲上の舞台のごとし茅萱の穂)
千明朋代
夏に入る今の自分に向き合ひて
(今の自分向き合ひながら夏に入る)
深澤範子
定年後に診療所を開設し、休みには登山にいそしむ元気印満々の範子さん。その多忙の中、無理し過ぎては長続きしないということを自戒の言葉として大切にしていらっしゃる様子だ。具体的な夏の食べ物だとか、野山の景色ではなくて、「夏に入る」というところがよい。
サーカスの空を旋回夏つばめ
森山栄子
坂道のだらだら続く油照
小山良枝
水天の濃鼠迫り梅雨に入る
(濃鼠の水天迫り梅雨に入る)
鎌田由布子
遠野郷河鹿の声のいづこより
(いづこより河鹿の声か遠野郷)
深澤範子
梅雨出水帰るに帰れなくなりぬ
巫 依子
電車が動かなくなっているということか?停電で一灯もなく。
溝萩を束ねて水を含ませて
箱守田鶴
万緑や濠に向きたる千の窓
梅田実代
大手町の御堀端の大きなビルのようだ。大きな光景をうまくまとめて描いている。千の窓という言い方がとても生きている。
投げやりしままの眼鏡や夏の風邪
田中優美子
コロナでなくてよかった。でもやる気が何も起きない。
五月雨や卍に狂ふおろち川
黒木康仁
防波堤覆さむと夏怒涛
鈴木紫峰人
激しいです。今年はこういう光景がニュースで沢山流れています。
片蔭に執して歩き遊びけり
(片影に執して歩き遊びめく)
荒木百合子
表札に一筋ひかる蜘蛛の糸
中村道子
遠き日の記憶はつかに百日草
長谷川一枝
青ぶだう畑の中をローカル線
(青ぶだう畑中抜けるローカル線)
長谷川一枝
夏霞橋の尖端白灯す
(夏霞架橋の尖端白灯す)
中山亮成
沢蟹採る子らの短パン水びたし
(沢蟹採る子らの短パンみな濡れて)
松井洋子
この句の原句の下五は「みな濡れて」であるのだが、和子先生が添削すると「水びたし」となって、とても映像がはっきりしてくる。意味は同じなのにこれほど印象が変わるということを注視しなくてはならない。「みな濡れて」は状況の説明であり、「水びたし」はかっちりした描写である。その違いを鑑賞しながら、かつ学びたい。
風来てはうら返りゆく青田波
(来ては風うら返りゆく青田波)
牛島あき
沢蟹の蟹の骸を越えて行き
鏡味味千代
自然界では死は身近である。それもすぐに食べられてしまうのだが、この骸はさらされている。それを何事もないように越えて歩く同類の沢蟹。なまじ海よりも清流であるために、凄惨である。
一番の馳走なりけり滝の音
千明朋代
滝見茶屋での実感。
店の子が横をすり抜け金魚玉
梅田実代
いま一度気を張り生きむ土用太郎
(いま一度気を張り暮らす土用太郎)
島野紀子
腕組みて茅の輪をくぐり老夫婦
(腕組みて茅の輪くぐれり老夫婦)
中村道子
たがいにいつお迎えがくるかわからないけれど、それまでなるべく元気で仲良く暮らそうね、という素晴らしいご夫婦ですね。心の持ちようが健康維持にも大切。
渓谷をゆく鬼百合に見下ろされ
森山栄子
鬼百合の花はとても目につく。渓谷を歩きながら見上げる旅にそれが仰がれる。ずいぶんと谷が深い様子も表している。
濁流に中洲呑まるる梅雨の末
小松有為子
足もとに眠る犬撫で夏の月
(足もとで眠る犬撫で夏の月)
長坂宏実
色褪せし母の形見の黒日傘
(母形見色の褪せたる黒日傘)
穐吉洋子
白や明るい色の日傘ではなくて、黒の日傘。実は黒が一番日を遮る効果は高いので実用的でもあり、また独特の風格もある傘なのであろう。その色が褪せているというのは、長い時間の、そしてその間の苦労なども想像させる。
こんな奴どこにもゐるよやぶからし
(やぶからしどこにもゐるよこんな奴)
長谷川一枝
ワイパーがぐいつと拭ふ大夕焼
矢澤真徳
ところてん少し違ふと気持覚め
(少し違ふと気持の覚めてところてん)
荒木百合子
振り売りの媼炎暑にたぢろがず
奥田眞二
夏風邪や出窓の光わづらはし
田中優美子
叡山の黒く静もり大夕焼
(叡山の黒く静もり大夕焼け)
小野雅子
京都の句は、なんでも歴史の重みを感じさせる。季語だけでなくて、さらなる追加の舞台設定がありますね。「黒く静もり」がよい。
火起こしの香の残りたる団扇かな
長坂宏実
トラクターはたと止まりぬ落し角
(落し角はたと止まりぬトラクター)
山内雪
大きくて音もすごいトラクター。人間味はないと見えていたそれがはたと止まった。なんとそのわけは、存在感のある鹿の角が行く手に、転がっていたから。運転しているのは人間なのだから。
貴婦人の館なりけり花柘榴
千明朋代
風入れの紋付に未だ仕付け糸
箱守田鶴
思ひ出での帝国ホテル夏炉燃ゆ
(夏炉燃ゆ帝国ホテル思ひ出で)
千明朋代
波音のやはらかくなる梅酒かな
小山良枝
ほろ酔い気分が素敵。
綿菓子のやうにふんはり夏の月
鎌田由布子
水に触れ石段に触れ黒揚羽
山田紳介
青葉雨橋の上にて別れたる
小野雅子
冷し酒夫の弱音を聞いてをり
(冷酒酌みつつ夫の弱音を聞いてをり)
小野雅子
大人の女性にとっては、男ってなんて馬鹿なの?ということ。それは腕力とか、体力とか強いのは確かだし、また精神力・忍耐力だって強いと思う時もある。だが、安心して話せる相手が妻だからといって、せっかくの酒がまずくなる不満と弱音の数々。自分で解決しろよっ!だがそれを聞くのも“良妻”の役目か。そういう場面もこれからの社会ではなくなっていくのかもしれない。逆に疲れている夫にご近所の不満とか色々言ってさらに疲れさせる奥さんというのもテレビドラマなどでは出てくるが。
子と母に緑蔭の時止まりたる
藤江すみ江
観音の滝と呼ばれて閑かなり
巫 依子
梅雨の月目掛け飛行機上昇す
鎌田由布子
溽暑なり思考能力停止中
(溽暑なる思考能力停止中)
鎌田由布子
海の日の波打ち際の音激し
水田和代
どくだみへ濁流嵩を増しゆけり
小野雅子
まだ少し空の映れる青田かな
長谷川一枝
大分伸びてきた田んぼのかんじ。面白い把握と表現である。
水一筋真夏の森を貫きて
山田紳介
土用芽に雨上がりたる雫かな
牛島あき
病院の西日眩しき談話室
穐吉洋子
サンドレス肩のきれいな小麦色
荒木百合子
鶏の土を蹴散らす暑さかな
小山良枝
おたまじゃくし見ぬ間にゐなくなりにけり
(おたまじゃくし見ぬ間にいなくなりにけり)
チボーしづ香
お散歩コースの池か、ご自宅の庭か。だんだん大きくなるなあと見守っていたのに急に全くいなくなった。蛙になったら水から出てあちこち散らばって生きてゆくのだから当然であるけれど、あんなに沢山いたのが、見えないというのが自然界の不思議である。ま、よく探せば小さな蛙が草むらに紛れていたのかもしれないけれど、第一印象はこの句の感じ。
ビーチボール投げくれし歯の白さかな
梅田実代
見るからに健康そうな日焼けのお兄さん!
夏雲の広ごるばかり遠野郷
深澤範子
紫陽花の光を得たり備前焼
(紫陽花てふ光を得たり備前焼)
森山栄子
白蓮の散りかけて持ちこたへゐる
(散りかけて持ちこたへゐる白き蓮)
荒木百合子
各人が選んだ五句のうち、一番の句(☆印)についてのコメントをいただいています。
■小山良枝 選
蛇の衣まだ柔らかき腹あたり | 雪 |
向日葵も首くたびれてをりぬべし | 林檎 |
蝶の脚ふんはりとあり合歓の花 | すみ江 |
煮えきらぬ音ひきずつて梅雨の雷 | あき |
☆表札に一筋ひかる蜘蛛の糸 | 道子 |
力強い写生句です。たった一筋の蜘蛛の糸をも見逃さない、俳人の目を感じました。 |
■飯田 静 選
漆黒の海に連なり烏賊釣火 | 由布子 |
火起こしの香の残りたる団扇かな | 宏実 |
四股を踏む子の膝高し半ズボン | 百花 |
跳び箱を七段とんで靴白し | 松井洋子 |
☆柄の太き考の傘借る白雨かな | 松井洋子 |
ご実家に行かれ帰り際に振り出したにわか雨。亡くなられた父上の傘を借りしばし思い出に浸られたのでしょう。 |
■鏡味味千代 選
野萱草漢の唄の哀しくて | 一枝 |
まだ少し空の映れる青田かな | 一枝 |
あれもこれももののはづみやほたるの夜 | 朋代 |
子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
☆病院の西日眩しき談話室 | 穐吉洋子 |
西日というとあまり良いイメージを抱かないのだが、ここは病院。時間も季節も建物の外でいつの間にか過ぎてしまう。しかし西日はそんな病院の中にも入り込み、季節と時間の実感を与えてくれる。それが談話室であることに楽しさを感じ、また「眩しき」にも疎ましさを感じず、まるで喜んでいるかのような印象を受ける。蛍の句も、蛍の持つ悲しみのイメージではなく蛍のマイペースな惚けたような様子が表れていて好き。 |
■千明朋代 選
息絶えし毛虫絢爛たる衣 | 百合子 |
短夜や独りの部屋は泣くために | 雅子 |
白日傘太平洋へひらきけり | 恵美 |
風鈴や忘れたころの余り風 | 康仁 |
☆新茶汲む九十五歳の母と汲む | 深澤範子 |
輝ける今の一瞬を映した素晴らしい句だと思いました。 |
■辻 敦丸 選
池底の濁りを脱ぎて白蓮 | 杏 |
七夕や今宵宴は雲の上 | 穐吉洋子 |
表札に一筋ひかる蜘蛛の糸 | 道子 |
風鈴や忘れたころの余り風 | 康仁 |
☆蟬の声我を童へ引き戻し | 康仁 |
蝉の種類も少なくなった様ですが、初蟬の声と共に遠い昔を回想します。 |
■三好康夫 選
沢蟹の蟹の骸を越えて行き | 味千代 |
子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
新茶汲む九十五歳の母と汲む | 深澤範子 |
言葉なく眼で笑ふソーダ水 | 深澤範子 |
☆大寺の案内の僧の日焼顔 | 静 |
日焼けした案内僧の単純な笑い顔、大きな声が頼もしい。 |
■森山栄子 選
戸に粽厨に護符の大暑かな | 島野紀子 |
牛が来る海霧の襖をすり抜けて | 雪 |
ワイパーがぐいつと拭ふ大夕焼 | 真徳 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
☆短夜や萬年筆に指汚し | 良枝 |
暑さもやわらぎ、ひとりごころを得て筆が走るようになる頃にはもう夜明けが近づいている。 |
■小野雅子 選
誰彼の背遠ざかる夏木立 | 康夫 |
戸に粽厨に護符の大暑かな | 島野紀子 |
子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
火起こしの香の残りたる団扇かな | 宏実 |
☆夏蝶とおんなじ風に吹かれけり | 紳介 |
夏の炎天下ありなしの風を蝶と分け合っていると読みました。小さな蝶も人間も同じ生き物、自然と一体です。 |
■長谷川一枝 選
曇天の厚きを低く夏燕 | 実可子 |
明け易し閃きたるや朝の膳 | 昭彦 |
病院の西日眩しき談話室 | 穐吉洋子 |
サーカスの空を旋回夏つばめ | 栄子 |
☆ややありて夫も夕焼を言つてをり | 実代 |
微妙な間合いに、日常のお二人の関係が垣間見られたように思いました。 |
■藤江すみ江 選
煮えきらぬ音ひきずつて梅雨の雷 | あき |
跳び箱を七段とんで靴白し | 松井洋子 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
打水の静寂過る一刹那 | 由布子 |
☆老猫の小さき骨壷梅雨あがる | 雅子 |
梅雨あがるという季語が良いです。天寿を全うした愛猫を誉め称える気持ち、ペットロスに負けないからっとした気持ちを感じます。 |
■箱守田鶴 選
風鈴や忘れたころの余り風 | 康仁 |
新茶汲む九十五歳の母と汲む | 深澤範子 |
ビーチボール投げくれし歯の白さかな | 実代 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
☆達筆の遺書や知覧に合歓の花 | 眞二 |
合歓の花の盛りに知覧を飛び立つ特攻機、遺書を残して。きっと母上へ宛ててでしょう。若いのに達筆であるのがいっそう哀しい。戦争は何も解決しないのになくならない。人間はあまりに愚かです。 |
■深澤範子 選
砂利道の小さな点よ雨蛙 | しづ香 |
子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
ひと夏をうつろのままに蛍籠 | 栄子 |
病院の西日眩しき談話室 | 穐吉洋子 |
☆鳥に夏空人間に握り飯 | 林檎 |
情景も見えますし、ユーモア溢れる面白い句だと思いました。 |
■中村道子 選
自転車の少女立ち漕ぎサンドレス | 雅子 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
緑濃き国立競技場眠る | 亮成 |
熱の児の身のやり場なき大暑かな | 松井洋子 |
☆子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
我が家の前の家にも小さい長靴が干してありました。子供さんの数だけ干された大小の長靴は家庭の温もりを感じますね。梅雨の明けた喜びとともに。 |
■山田紳介 選
蹠に石の丸さや夏の河 | 松井洋子 |
汕頭のハンカチいまだ封切らず | 一枝 |
新茶汲む九十五歳の母と汲む | 深澤範子 |
金魚玉ひとり娘で育てられ | 恵美 |
☆白日傘太平洋へひらきけり | 恵美 |
光と影、空と海、無限と微小、現在と過去、在るものと無いもの。単純な構造の一句だが、その単純さ故か想像はどこまでも広がって行く。 |
■松井洋子 選
店の子が横をすり抜け金魚玉 | 実代 |
牛が来る海霧の襖をすり抜けて, | 雪 |
鉄骨は巨大な積木雲の峰 | あき |
星一つ落ちて摩文仁の夜光虫 | 眞二 |
☆白日傘太平洋へひらきけり | 恵美 |
多くを語らず、白日傘と太平洋を対比させて端的に詠まれた大きな景の句。一読して真っ白な砂浜と透き通った海が見えてくる。 |
■緒方恵美 選
坂道のだらだら続く油照 | 良枝 |
隠れ世の闇より出づる梅雨の月 | 依子 |
ひと夏をうつろのままに蛍籠 | 栄子 |
とうすみの蝶の羽影に釣られ飛び | すみ江 |
☆七夕や今宵宴は雲の上 | 穐吉洋子 |
時事句はめったに選ばないが、さすがににコロナ・豪雨と続くと共感する。雲上では、3密・ノーマスク・お酒・カラオケetcとさぞ無礼講なのでしょう。 |
■田中優美子 選
ムール貝開けばハート巴里祭 | 百花 |
夜濯のハンガーぽつと掛けにけり | 林檎 |
七夕の短冊背より上に吊り | 味千代 |
こんな奴どこにもゐるよやぶからし | 一枝 |
☆ワイパーがぐいつと拭ふ大夕焼 | 真徳 |
大粒の雨のあと、ワイパーで拭えばフロントガラス一面の夕焼。「ぐいつと」という言葉の勢いと大夕焼のダイナミックさに心が洗われます。車中から夕焼を楽しむという視点も好きです。 |
■長坂宏実 選
自転車の少女立ち漕ぎサンドレス | 雅子 |
声出せば涙となりぬ夏の星 | 雅子 |
夕涼やひとつふたつと庭灯る | 昭彦 |
病院の西日眩しき談話室 | 穐吉洋子 |
☆大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
勢いがあって、若々しさがとてもよく表現できていると思いました。 |
■チボーしづ香 選
いつの間に雨音止みて瑠璃の声 | すみ江 |
蠅払ふ牛のしっぽのタクトかな | 穐吉洋子 |
網戸ごしぬるき光の夏の月 | 優美子 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
☆うれしきこと言ふ母の亡く夜の秋 | 紫峰人 |
母親の死の寂しさを秋の寂しさに掛けて今の作者の心がよく読めている。 |
■黒木康仁 選
紫陽花の光を得たり備前焼 | 栄子 |
一番の馳走なりけり滝の音 | 朋代 |
凌霄や通るばかりの無人駅 | 良枝 |
しづかさや夏蝶の来て草揺れて | 恵美 |
☆柄の太き考の傘借る白雨かな | 松井洋子 |
実家へ行き、帰らなければならぬのに夕立にあい、亡父の傘を借りた。恐らく母を一人実家に残して。後ろめたさを感じつつといった風景が見えそうですね。 |
■矢澤真徳 選
鶏の土を蹴散らす暑さかな | 良枝 |
沢蟹採る子らの短パンみな水びたし | 松井洋子 |
輪になつて蕎麦を啜るや子供の日 | 深澤範子 |
子と母に緑蔭の時止まりたる | すみ江 |
☆大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
夏空を蹴っているということは、まだ出来ない逆上がりの練習中でしょうか。次こそ、と応援したくなってきます。 |
■奥田眞二 選
ネックレス汗の鎖骨に波打ちて | 栄子 |
立ち話長々サマードレスかな | しづ香 |
老猫の小さき骨壺梅雨あがる | 雅子 |
七夕の役所忙しや入籍す | 新芽 |
☆あれもこれももののはづみやほたるの夜 | 朋代 |
まさに「言ひおほせて何かある」です。文字表現も最後の「夜」一文字がこの句を余計引き立たせています。 |
■中山亮成 選
青ぶだう畑の中をローカル線 | 一枝 |
星一つ落ちて摩文仁の夜光虫 | 眞二 |
あれもこれももののはづみやほたるの夜 | 朋代 |
漆黒の海に連なり烏賊釣火 | 由布子 |
☆北斎を小布施にとどめ栗の花 | 田鶴 |
北斎が長く逗留した小布施にこと記憶にありました。栗の花にひかれました。 |
■髙野新芽 選
夕立あと天使の羽のごとき雲 | 優美子 |
夏霧の山の頂溶かしたり | 味千代 |
風鈴や忘れたころの余り風 | 康仁 |
水一筋真夏の森を貫きて | 紳介 |
☆門川に弥勒のごとく海芋咲く | 亮成 |
独特な世界に惹き込まれました。 |
■巫 依子 選
煮えきらぬ音ひきずつて梅雨の雷 | あき |
風来てはうら返りゆく青田波 | あき |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
夏の雲夜にも白を失はず | 味千代 |
☆梔子の花耳たぶの柔らかさ | 田鶴 |
梔子の花といえば、普通ならその香りに意識がいきがち。けれどもこの句は、余計なことをいっさい述べずに、ただただ梔子のその花の在り樣を、触覚的に捉えて表現している。え?そうなの?と、確認してみたくなりました。 |
■佐藤清子 選
熱の児の身のやり場なき大暑かな | 松井洋子 |
五月雨や卍に狂うおろち川 | 康仁 |
七月の晦日詣でを八坂まで | 島野紀子 |
白日傘太平洋へひらきけり | 恵美 |
☆金魚玉ひとり娘で育てられ | 恵美 |
ひとり娘で幸福な環境で育てられたのでしょうか。その反面、ご本人にしてみれば不自由で退屈、寂しさもあったと推察します。見れば金魚玉のようなのでしょうか。さらりと言ってて好きです。 |
■水田和代 選
堰越えの躍る銀鱗夏旺ん | あき |
横断の足の縺るる溽暑かな | 良枝 |
観音の滝と呼ばれて閑かなり | 依子 |
子の数の長靴干され梅雨明くる | 松井洋子 |
☆達筆の遺書や知覧に合歓の花 | 眞二 |
達筆の遺書がとても悲しいです。優しい合歓の花が寄り添っています。 |
■梅田実代 選
波音のやはらかくなる梅酒かな | 良枝 |
足もとに眠る犬撫で夏の月 | 宏実 |
まだ少し空の映れる青田かな | 一枝 |
誰彼の背遠ざかる夏木立 | 康夫 |
☆まひるまの清閑にあり夏椿 | 依子 |
夏椿の気高さが際立ちます。 |
■木邑 杏 選
切り株にのっぺらぼうの梅雨茸 | 穐吉洋子 |
捕虫網そんなにひよいと渡されても | 実代 |
プリントの肌にくつつく小暑かな | 味千代 |
沢蟹採る子らの短パンみな水びたし | 松井洋子 |
☆貴船川床瀬音につるむ京ことば | 眞二 |
京都の夏、貴船川床の瀬音にはんなりとした京ことばが入り混じる。 |
■鎌田由布子 選
人生のいまロスタイム夕焼濃し | 眞二 |
大地蹴り夏空を蹴り逆上がり | 味千代 |
緑陰の小径に置かれ乳母車 | 実可子 |
自転車の少女立ち漕ぎサンドレス | 雅子 |
☆大寺の案内の僧の日焼顔 | 静 |
大寺の若い僧侶は読経より雑用が多くて日焼けしている点が滑稽でした。 |
■牛島あき 選
うれしきこと言ふ母の亡く夜の秋 | 紫峰人 |
輪になつて蕎麦を啜るや子供の日 | 深澤範子 |
持ち上げて今朝も尻押すメロンかな | 実代 |
隠れんぼべろ出し茗荷いち見つけ | 穐吉洋子 |
☆ムール貝開けばハート巴里祭 | 百花 |
開いたムール貝の形にハートを見る作者はきっと幸せいっぱいな方。「巴里祭」のお洒落な語感が素敵です。 |
■荒木百合子 選
まだ少し空の映れる青田かな | 一枝 |
水に触れ石段に触れ黒揚羽 | 紳介 |
ビーチボール投げくれし歯の白さかな | 実代 |
透く翅に傷みの見えて蟬歩く | 有為子 |
☆四股を踏む子の膝高し半ズボン | 百花 |
遥かな子育ての日々とその頃の私にあった若い親としてのエネルギーを思い出して、いいなあと思うのです。 |
■宮内百花 選
厳格な母の思ひ出ソーダ水 | 由布子 |
夏川や浸しし足の透きゆける | 松井洋子 |
金魚玉ひとり娘で育てられ | 恵美 |
沢蟹の蟹の骸を越えて行き | 味千代 |
☆星一つ落ちて摩文仁の夜光虫 | 眞二 |
摩文仁でかつて失われた数多の命の数ほど夜光虫が闇の中で光っている。「星一つ落ちて」の言葉が、そんな情景を物語っているようです。 |
■鈴木紫峰人 選
ところてん少し違ふと気持覚め | 百合子 |
沙羅の花千のひとつの落花かな | 依子 |
蚊遣火と子の読みさしの夢十夜 | 栄子 |
しづかさや夏蝶の来て草揺れて | 恵美 |
☆牛が来る海霧の襖をすり抜けて | 雪 |
根釧地方の海霧の中で生きる酪農家は牛が家族。たくましく海霧の中を牛が顔を見せてくれる。今日もこの牛たちとこの地で生きていく確かな思いを感じました。 |
■吉田林檎 選
ムール貝開けばハート巴里祭 | 百花 |
梔子の花耳たぶの柔らかさ | 田鶴 |
カステラのざらめぱらりと昼の雷 | 敦丸 |
河童忌や乾ききつたる掌 | 良枝 |
☆波音のやはらかくなる梅酒かな | 良枝 |
映画「海街diary」ですずちゃんが梅酒を入れながらお姉ちゃんたち1人1人に「甘め?すっぱめ?」と聞いていたシーンを思い出しました。海近くに暮らしながら毎年梅酒を作っている。梅酒を飲んでいると気分が和らぎ、波音も柔らかく感じる。そういう暮しの中の梅酒を思いました。 |
■小松有為子 選
表札に一筋ひかる蜘蛛の糸 | 道子 |
万緑や濠に向きたる千の窓 | 実代 |
幾重にも雲の重なり梅雨夕焼 | 由布子 |
七夕の短冊背より上に吊り | 味千代 |
☆煮えきらぬ音ひきずつて梅雨の雷 | あき |
聞こえたような気のせいのような雷鳴を”煮え切らぬ”と詠まれたことの素晴らしさ! |
■岡崎昭彦 選
カステラのざらめぱらりと昼の雷 | 敦丸 |
風来てはうら返りゆく青田波 | あき |
水に触れ石段に触れ黒揚羽 | 紳介 |
遠ざかる船のごとくに夏入日 | 真徳 |
☆火起こしの香の残りたる団扇かな | 宏実 |
炭の香と起こした火で火照った顔少し先の破れた団扇に、夏の楽しい夕餉を感じます。 |
■山内雪 選
夏霧の山の頂溶かしたり | 味千代 |
ところてん少し違ふと気持覚め | 百合子 |
身代を潰してしまひ更衣 | 由布子 |
人生のいまロスタイム夕焼濃し | 眞二 |
☆金魚玉ひとり娘で育てられ | 恵美 |
季語金魚玉で選んだ。この季語のおかげで景が見えたと思った。 |
■島野紀子 選
夏帽子森の中なるパン屋まで | 宏実 |
冷房に誘はれ要らぬもの買ひて | 新芽 |
一滴の飲み水下さい梅雨出水 | 田鶴 |
清掃を終へたる水路蛇泳ぎ | 百花 |
☆一番の馳走なりけり滝の音 | 朋代 |
非日常と涼しさの贅沢。五感すべてで味わい尽くしてください。 |
「俳句における取り合わせ」
先月は省略について述べましたが、今月は追加についてと予告していましたね。原則として、器の小さい俳句では省略が大切であることは言うまでもありません。ただ、何か物足りないということがあります。作者のイメージをもっと明確にするには、今目の前にはないのだけれど、記憶の中でその対象と強いつながりを感じさせるものがあったはず。そんなケースです。デッサンで形を整えるだけでなくて、たとえば影を入れるだけで存在感が増すようなことでもあります。
影を一ついれて全体を描く句にはこんな句があります。
青麦に走り穂一つ見ゆるかな 虚子
畑の大部分の青麦の中に、はやばや穂になりつつあるのが見える。そういうことなのですが、とても広い麦畑に風が吹いて、穂を際立たせているのがはっきり感じられます。
三つ食へば葉三片や桜餅 虚子
桜餅を食べることを描写するのに、それをつまむ麗人の細い指だとか、菓子皿が素敵だとか言いたくなります。虚子はあえて、食べたら葉が三枚残っていると付けています。でも三つも食べるほど美味しい、嬉しそうな顔が目に浮かびます。
水馬流るる黄楊の花を追ふ 素十
よく見る光景なのですが、ここに何の花びらを追わせますか?黄楊の黄色い小さな花びらだから、水馬が獲物かと思って追うさまが目にうかびます。薔薇はもちろんダメ、桜でもダメです。
塵取に凌霄の花と塵少し 素十
ここで凌霄の花は嘱目だったかもしれないし、我々のレベルでも言えるでしょうが、「塵少し」をいうことで凌霄の花が際立つという技はかなりの上級です。
素十の句は嘱目かもしれないが、虚子は、ほぼ兼題から想像で作っていると思います。想像といっても、実景の記憶をたどり、さらに、句のしつらえに一番ぴったりな素材をもってきています。つまり記憶の中から一番ぴったりくる光景を組み合わせています。
ここに上げた例句はやや古典的で、最近流行っている付け合わせとは大分雰囲気が違っていると思いますけれども、上質であることは明白です。日頃の観察、それだけでなくて、構図についてもそれが作り物然とならない作り方というのは、個性を出すために必要です。「まあそうだね、うまくまとめたね」というくらいでは、実は少し気が利く人なら思いつく、つまり、個性ではないということになります。
第一歩はよく見て、それを見た自身の心に何が映っているのかを正確に把握することなのですが、それに慣れたら、あえて見えていないものを構築するということも句柄を広げます。試してみてください。
(中川純一)
緊急事態宣言の延長、医療の逼迫の状況から、10月の例会は投句形式といたします。
例会係