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西村和子第五句集『鎮魂』(たましづめ)
2010/8刊行

前句集以降60歳までの7年間の作品400句を収めた句集。

鎮魂歌はもとより亡き人に捧げられるものだが、句を作ることでもっとも魂が慰められ鎮められたのは、残された私だ。その思いをこめた句集名『鎮魂』。
踊唄みやこ恋しとくり返し
雲の峰沖には平家船を並め
年酒酌む生したてたる二人子と
白南風やもとより翼持たざる身
朴落葉して林中にふたりきり
林檎剥き分かつ命を分かつべく
霜の夜の夫待つ心習ひなほ
うつしみは涙の器鳥帰る
我をのみ待つらむひとり魂祭
三人の遺影机上に稿始め
かへりみる勿れ夜桜夜の坂
在りし日のまま並べ掛け夏帽子